酒井潤のソロユニットバッカナルはこの『望遠郷』というアルバムの中で、のどかな田舎の風景や、少年と呼ばれていた頃の記憶や、彼女に携帯をへし折られるほど喧嘩するような日常を、彼の奏でるフォークロアな演奏と声で生々しくもそれは童話のように、そしてある種のアシッドのせいでねじれた視界のように、不思議でつかみどころがなく、それでいて心に絶えず音符が残るような感覚を与え続ける…いっそ“心に音が侵入する”という表現の方が正しいのかもしれない。
前作『幻影師バッカナル』に続きskmtとタッグを組み、アコースティック主体とした奇妙な音の連鎖は呪術的ですらある。生々しさと対比するかのような飄々とした酒井の歌い回しをじっと聴いていると、自分がいまどこにいるのか分からなくなってしまいそうになる。そんなあやふやに埋もれがちな心はたぶん「遠く」を望んでいるわけで、それはすぐそばに“さと(郷)”の存在があるがゆえなのかもしれない。
今日の人が便利さと引換にした神秘さを、バッカナルは今の感覚でひょうひょうと鳴らし続けている。失った、無くなった、現れた……いつの時代のどの場所でも起こることを、当たり前のように不思議に鳴らす、この希有な才能を多くの方々に堪能して頂きたい。
名称: | バッカナル『望遠郷』 |
番号: | INVE-39 |
媒体: | CD-R×1[紙ジャケ仕様:構造詳細] |
TRACK: | 1.トンビ 2.軽便鉄道節 3.北守将軍プーランポーの参内 4.スーパーバイク 5.僕の同僚 6.もぬけのから |
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